×

ニュース

ウラン濃縮10施設計画 イラン、強硬路線に転換

 イランのメディアは29日、同国政府が新たにウラン濃縮施設10カ所の建設計画を明らかにしたと伝えた。政府は、うち5カ所については既に建設場所が決まっているとして、原子力庁に対して2カ月以内に建設に着手するよう指示した。

 建設が計画通りに進むかどうかは不透明だが、核兵器開発につながる恐れのある濃縮活動の停止を求める欧米が、新たな経済制裁に向けた動きを加速させるのは必至だ。

 ギブズ米大統領報道官は同日「事実だとすれば国連安全保障理事会決議で定められた義務に違反する」と警告する声明を発表。国際原子力機関(IAEA)は建設計画について「コメントできない」としている。

 イランのアハマディネジャド大統領は同日の閣議で「世界との友好関係は歓迎だが(核開発では)一歩も引かない」と発言、一定の対話姿勢から強硬路線に転換した。サレヒ副大統領兼原子力庁長官は新設計画について「決議に対する反発だ」と述べ、IAEA定例理事会が濃縮施設の建設停止を求める決議を採択したことへの報復措置であることを強調した。

 イランは、2025年までに100万キロワット級の原子力発電所を20カ所建設し、計2千万キロワットの発電を目指している。同国政府はこのため、現在濃縮活動が行われている中部ナタンツの施設と同じ規模の濃縮施設を10カ所新設し、50万基の遠心分離機を設置。年間250~300トンの核燃料を製造する必要があるとした。

 また、低濃縮ウランを国外輸送し、研究用原子炉の燃料として返還を受けるIAEAの草案については、受け入れを拒否して燃料を自力で製造することを検討していることも明らかにした。

(共同通信配信、2009年12月1日朝刊掲載)

関連記事
第2の濃縮施設 イラン、核査察に同意 オバマ氏「建設的始まり」 (09年10月 5日)

年別アーカイブ