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天野氏が事務局長就任 IAEA 「核不拡散に力注ぐ」

 日本の天野之弥前核不拡散・原子力担当大使(62)が1日、「核の番人」とも呼ばれる国際原子力機関(IAEA)事務局長に就任した。アジアから初の選出で、焦点のイラン、北朝鮮核問題への対応に全力を挙げるとともに、エネルギー利用や医療面での活用など原子力の平和利用を進める。任期は4年。

 オバマ米大統領が「核なき世界」を掲げ、核軍縮の機運が高まる中での就任。欧米が新たな対イラン経済制裁実施にかじを切り始める中、天野氏の調整手腕に注目が集まる。

 天野氏はこの日、ウィーンの本部に着任。「IAEAを取り巻く状況は嵐のように厳しいが、最善を尽くしたい。核不拡散に力を注ぎ、医療面など(原子力の平和利用)への取り組みも進めたい」と抱負を述べた。

 イランは9月に第2のウラン濃縮施設の存在が発覚。低濃縮ウランを国外輸送するIAEAの草案受け入れも拒み、交渉は行き詰まっている。IAEA理事会(日米など35カ国)は11月27日、施設の建設停止などを求める決議を採択したが、イランは新たに10カ所の濃縮施設建設計画を明らかにするなど対応をエスカレートさせた。

 北朝鮮は4月、寧辺の核施設からIAEA監視要員を追放し、IAEAが同国の核問題に関与する手だてのない状態が続いている。

 天野氏は1972年に外務省入省。ことし7月の事務局長選で当選し、核不拡散・原子力担当大使を11月に辞職した。

(共同通信配信、2009年12月2日朝刊掲載)

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