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「核兵器はなくせる」 廃絶へ日本の主導期待 国際シンポ

■記者 吉原圭介

 広島市立大広島平和研究所と中国新聞社ヒロシマ平和メディアセンターは5日、中区の広島国際会議場で国際シンポジウム「ヒロシマは核兵器廃絶をめざす」を開いた。来年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に、米国や韓国の専門家らが世界の核情勢を分析し、廃絶へ向けた日本の役割などについて意見交換した。市民約250人が聞き入った。

 米国の非政府組織(NGO)、グローバル・セキュリティー・インスティテュートのジョナサン・グラノフ所長は基調講演で「核兵器禁止条約の交渉・締結に向け、日本が主導して準備会議を開いてはどうか」と提案。韓国の丁(チョン)世鉉(セヒョン)元統一相は北朝鮮の核問題について「早期に解決するには国交正常化や平和協定締結を優先すべきだ」と語った。

 続いて平和研の水本和実准教授をコーディネーターにパネル討議した。元軍縮大使の美根慶樹氏は、核を持たない国を核攻撃しない消極的安全保障を「まず実現すべきだ」と指摘。第五福竜丸事件などを通じて核兵器を告発している詩人のアーサー・ビナード氏は「人間が造った核兵器は人間の力で廃絶できる」と訴えた。

 ヒロシマ平和メディアセンターの田城明センター長は、紙面だけでなくウェブサイトも活用した情報発信をアピールし、廃絶に向けた被爆国や市民の役割の重要性を強調した。

 合間には中高生ノーニュークネットワーク広島のメンバーが、オバマ米大統領を被爆地に招く取り組みを報告した。

(2009年12月6日朝刊掲載)

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