×

ニュース

原爆症基金法成立 舟橋・広島大名誉教授に聞く 審査基準見直し必要

■記者 金崎由美

 原爆症認定集団訴訟の敗訴原告に国が事実上の解決金を支払うための基金法が成立し、6年半に及ぶ法廷闘争は終結が確定的となった。その一方で、原爆症の認定審査を待つ被爆者はなお8千人に上る。「原爆被害者相談員の会」会長の舟橋喜恵・広島大名誉教授(74)に、今後の課題などを聞いた。

 基金法は、集団訴訟が決着するという一つの節目ではあるが、それと原爆症認定制度そのものが抱える問題の解決はまったく別だ。混同してはいけない。

 ハードルの高い認定審査の基準を見直さないままでは、今後も申請却下が続発することは目に見えている。基準をゆるめたくない、という厚生労働省の本音は変わっていない。喫緊の課題は、基金法が施行される来年4月までに、審査基準をさらに見直すよう、強く求めていくことだ。審査会の人選からやり直す必要もあるだろう。

 ポイントの一つは、治療の必要性(要医療性)という基準の扱いだ。特にケロイドなどの外傷がある場合や、病気で手術した予後が悪い場合など、本人はつらいのに「治療の必要性あり」と認められにくい。この要件は撤廃するべきだ。  また8月に日本被団協と麻生太郎前首相が交わした確認書にある「定期協議」は、政権交代してもできる限り頻繁に開催し、被爆者の願いを反映した制度に変える場とするべきだ。

 被爆者の間に認定、非認定の差を生まない制度へ、あらためなければいけない。そうでなければ、被爆者は到底納得しない。(談)

(2009年12月3日朝刊掲載)

関連記事
社説 原爆症基金法 認定基準の見直し急げ (09年12月 2日)

年別アーカイブ