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東京大空襲集団訴訟 遺族らの賠償認めず 東京地裁 

 戦時中の1945年3月、米軍機の爆撃による東京大空襲で被災した民間人や遺族ら計131人が国に対し、救済策を取らなかったなどとして、謝罪や総額約14億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、「国民のほとんどすべてが戦争被害を負っており、その中から救済対象者を選別することは到底困難」として請求を棄却した。

 原告の最高齢者は91歳。原告団長の星野弘さん(79)は控訴する方針を明らかにした。

 鶴岡稔彦裁判長は「救済という問題は、さまざまな政治的配慮に基づき、立法を通じて解決すべきもので、国会の幅広い裁量に委ねられている」と指摘。その上で「旧軍人・軍属や原爆被害者などとの異なる取り扱いは、明白な差別には当たらない」と結論付けた。 原告側は「国は旧軍人・軍属やその遺族を手厚く保護しているのに、民間被災者の救済策を講じずに放置し続けたのは、法の下の平等を定めた憲法に反し、著しく不合理だ」と訴えていた。

 「空襲は国際法違反で、国際条約上、米側への損害賠償請求権があったのに、国がサンフランシスコ平和条約締結の際に個人の請求権を不当に放棄した」との主張に対しても、鶴岡裁判長は「国際条約は、個人の賠償請求権を認めたものではない」と退けた。一方で判決は「民間人被災者に対する救済策が必要との主張は、心情的には理解できないわけではない」とも言及した。

(共同通信配信、2009年12月15日朝刊掲載)

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