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ヒロシマ・ナガサキ議定書 「意見書」可決 広島市議会

■記者 東海右佐衛門直柄、城戸収

 広島市議会(定数55)は18日の定例会本会議で、核拡散防止条約(NPT)再検討会議での「ヒロシマ・ナガサキ議定書」採択に向けた意見書案を、賛成多数で可決した。秋葉忠利市長の政治姿勢に批判的な会派が反対し、全会一致とはならず、被爆者からは「非常に残念だ」との声も出ている。

 NPT再検討会議は、来年5月にニューヨークである。意見書は、日本政府に(1)2020年までに核兵器を廃絶するための手順を示した議定書の趣旨に賛同する(2)NPT再検討会議に議定書を議題として提案する(3)議定書の採択に向けて各国政府に働きかける―ことを求める内容。

 全9会派のうち6会派の幹事長たち7人が提案。最大会派の自民党新政クラブ(10人)と、ひろしま政和クラブ(9人)の2会派が反対した。

 自民新政クの木山徳和幹事長は「五輪招致の検討や旧市民球場跡地など議会への説明が不足している。市長の政治姿勢は納得できないとの意味を込めた」と説明。政和クの山田春男幹事長は「20年までの廃絶が現実的に難しい中、国に賛同を求めるのには無理がある」と指摘した。

 長崎市議会は11日、同趣旨の意見書案を全会一致で可決している。広島市議会で提案者に名を連ねた市民連合の太田憲二幹事長は「市長との感情的なもつれと、議会としての価値判断は別であるべきだ。廃絶を求める多くの市民の声を代弁しているのか」と嘆く。

 広島市の秋葉市長と藤田博之市議会議長、長崎市の田上富久市長と吉原孝市議会議長は21日、岡田克也外相たちに意見書を手渡す予定。日本被団協代表委員でもある広島県被団協の坪井直理事長(84)は「核兵器廃絶は広島の悲願なのに…。全会一致で可決してほしかった」と話す。

 一方、広島県議会は18日の議会運営委員会で、核兵器廃絶と恒久平和を求める決議を今定例会最終日の22日に可決することを申し合わせた。核兵器廃絶をめぐる決議は11年ぶり。決議案はNPT再検討会議を控え、最大会派の自民刷新会議が提案。全会一致で可決の見通しとなった。

ヒロシマ・ナガサキ議定書
 広島市の秋葉忠利市長が会長を務める平和市長会議が、2008年4月に提唱した。(1)非保有国の新たな取得と保有国の使用につながる行為の即時停止(2)廃絶の国際的枠組み合意に向け、保有国に誠実な交渉開始を要求(3)2015年までに取得や使用につながる行為禁止を法制化(4)2020年廃絶を実現する具体的プログラムを策定―の具体的な手順を提起している。

(2009年12月19日朝刊掲載)

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