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連載・特集

非核を問う 「密約」報告書公表 <上>

■記者 岡田浩平

民主党核軍縮促進議連事務局長 平岡秀夫氏

 日米の核持ち込みをめぐる「密約」が外務省の有識者委員会の報告書で認定された。非核三原則と矛盾する「密約」を踏まえ、今後の非核政策をどう考えるべきか。与党議員、反核平和団体、被爆者の代表に聞いた。

 ―岡田克也外相が就任直後から「密約」調査に取り組んだ意義をどう受け止めますか。 
 外交では何らかの密約を伴う場合もあろうが、いつか事実を明らかにするのが重要だという視点があった。調査が核軍縮や不拡散へプラスになるのかという意見をよく聞くが、少なくとも今まで国民が疑心暗鬼に思っていた点を明らかにし、外交に対する信頼を取り戻すのは大切だ。

  ―外務省有識者委員会が核持ち込みを「広義の密約」と認定し今後、非核三原則に影響は出るでしょうか。
 外相は非核三原則を守ると明言した。鳩山由紀夫首相も衆院予算委員会で私の質問に同様に答えている。これは民主党政権の大きな方針だ。

  ―ただ、19日の衆院外務委員会で参考人から「持ち込ませず」を緩める「二・五原則化」の議論も出ました。
 自民党の政治家や学者の中には、現実に合わせて原則を変えるべきだと言い出す人がいるかもしれない。警戒しなければいけない。今のところ民主党内でそういう意見は聞かないし、外相が堅持すると言う中で外務省内にも広がらないだろう。

 ―今後、日本の非核政策はどうあるべきですか。
 核兵器は使えない、使ってはいけない兵器だ。それに頼る平和はあってはならない。新たな安全保障のあり方として、北東アジアの非核兵器地帯条約の締結を目指すべきだ。

 日本と朝鮮半島に非核三原則が広がれば、日本の国是も担保できる枠組みになる。「北朝鮮の核問題が解決すれば」などの条件付きでもいいから、政府が北東アジアの非核兵器地帯条約について公式に発言するよう働き掛けを強めたい。

  ―核拡散防止条約(NPT)再検討会議も間近に迫り、核兵器廃絶へ日本の政治家の積極的な関与が求められます。
 被爆国の政治家はこの分野について世界の中で話を聞いてもらえるのが大きな特権だ。原爆の苦しみをほかのだれにも味わわせてはいけないという道義的責任を感じ、世界をリードする運動を起こしたい。

ひらおか・ひでお
   旧大蔵省などを経て2000年に衆院初当選。現在は山口2区選出で当選5回。核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)のメンバー。56歳。

(2010年3月21日朝刊掲載)

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