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愛宕山跡地(岩国)購入へ 政府 米軍再編 予算を計上

■記者 荒木紀貴

 25日決定した来年度政府予算案に、山口県と岩国市が多額の赤字で宅地事業を中止した愛宕山地域開発事業(岩国市)の跡地の取得費として199億円が盛り込まれた。防衛省は、米海兵隊岩国基地(同)への空母艦載機部隊移転をにらみ、米軍住宅を含めた「米軍再編関連施設用地」として購入するとしている。

 防衛省によると、2014年までの実施を目指す艦載機隊移転で軍人、家族の計4千人が岩国市に移住する見込み。米軍住宅のほか売店やライフラインなどの生活支援施設などへの転用を想定し、全102ヘクタールのうち、平地部分の4分の3(約45ヘクタール)を買い取る。

 一方で、地元には米軍住宅化への反対運動もあり、北沢俊美防衛相は記者団に「(用途は)まだ決まっていない。地元とよく調整したい」と強調した。

 同事業は、県住宅供給公社が1998年に着工。愛宕山を削った土砂を岩国基地沖の埋め立て用として防衛省に売る一方、跡地に住宅団地を造る計画だった。だが、地価低迷で240億円の赤字が見込まれ、県と市は2007年に中止を決定。愛宕山跡地を米軍住宅の有力候補地とする防衛省に売却し、赤字解消を図る方針に転じた。

 ただ、県と市は米軍住宅化への反対運動があることから、用途を明確にしないままで購入するように要望。政府内には「用途があいまいな土地を国費で買うのは困難」との意見もあり、防衛省が調整を進めていた。

 艦載機移転の関連では、防衛省は駐機場などの整備費などで71億円を計上。総額は270億円となり本年度当初比の4.8倍に膨らんだ。

愛宕山地域開発事業跡地
 総面積約102ヘクタール。うち平地部分の4分の3(約45ヘクタール)は、山口県と岩国市が、事業の赤字解消のため防衛省に買い取りを求めている。残る北東部の4分の1(約15ヘクタール)は市のまちづくりエリアで、「医療・防災拠点」として国立病院機構岩国医療センターの移転を核に多目的広場や統合消防署を整備する方針。県とともに本年度からインフラ整備に着手する。

(2009年12月26日朝刊掲載)

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