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3密約の存在確認 朝鮮有事議事録など 外務省有識者委

 安全保障に絡む日米間の4密約に関する外務省有識者委員会(座長・北岡伸一東大教授)は29日までに、従来の省内調査では確証が得られずにいた朝鮮半島有事の際の核持ち込み容認をはじめ3密約の存在を関連文書発見などにより確認した。

 残る沖縄返還時の原状回復費肩代わりに関する密約については、旧大蔵省関係者へも対象を拡大し聞き取り調査する方針。検証作業は来年1月中の報告書作成を目指し急ピッチで進んでいる。

 有識者委は11月27日の初会合以降、外務省チームによる調査報告書の精査と同時に密約の存在を認めた元幹部らからの聞き取りを実施。この過程で朝鮮半島有事の際に米軍が事前協議を経ずに在日米軍基地を使用できるとの密約について、根拠となる当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使の会談議事録を確認した。

 米軍の核兵器搭載艦船の領海通過や寄港を日米安保条約の事前協議の対象外とする密約は、外務省チームが見つけた草案とみられる文書を、有識者委も密約の存在を示す証拠と断定した。米側で公開されている安保条約改定時の藤山、マッカーサー両氏間の「秘密議事録」と同様の内容。両氏の署名はなかった。

 1972年の沖縄返還前、当時の佐藤栄作首相がニクソン大統領と交わした有事の際の沖縄への核持ち込みに関する密約文書は、佐藤氏の遺族が保管していたことが判明し有識者委は提出を要請する。

 一方、沖縄返還の際に米国が支払うべき原状回復費を日本が肩代わりした密約に関しては、密約文書は未発見。文書の存否が争われている東京地裁の訴訟で、吉野文六元外務省アメリカ局長が署名したと証言しており、文書破棄の可能性が浮上している。

(共同通信配信、2009年12月30日朝刊掲載)

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