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広島市立大 平和学を強化へ 研究所を本部移転 学位取得可能に

■記者 東海右佐衛門直柄

 公立大学法人移行を4月に控えた広島市立大(安佐南区大塚東)が、付属の広島平和研究所(中区大手町)を本部に移転させる方針を、2015年度までの中期計画に盛り込むことが5日、分かった。被爆地の高等教育機関としての機能を強化する。「平和学」の学位が取得できるカリキュラム構築も進める。

 市立大は、外部識者による評価委員会を設置し、法人化後6カ年の中期計画案を作成中。平和研については国際、情報科学、芸術の3学部と大学院がある本部への移転に取り組む考えを明記する。

 移転時期など具体的なスケジュールは示さず、「資金面など単年度ごとの事業計画は今後詰めていく」(事務局総務課)という。市立大は2月中旬に中期計画案をまとめ、7月をめどに秋葉忠利市長の認可を受ける予定でいる。

 平和学については、平和研と大学院が連携してカリキュラムを確立し、学位(修士・博士)を授与▽留学生にも魅力ある授業とするため英語による講義を充実―などを目指す。平和研によると、中国地方には現在、平和学の学位が取得できる大学はない。

 市立大は1994年に開学。平和研は98年4月に市中心部のオフィスビルに開設し、2004年7月に近くの別のビルの9階、10階の計1300平方メートルに移転した。現在は浅井基文所長をはじめ、教授、准教授、講師の計12人が在籍。移転後の現スペースについては、社会人やシニア層向けの講座を開くサテライトキャンパスの開設を検討する。

平和学
 戦争・紛争の原因や防止策、平和維持のための課題などを法学、政治学、国際関係学などの多様な視点で考察、研究する学問。主には、欧米の大学で研究が進んでいる。国内では、恵泉女学園大(東京)の大学院で学位が取得できる。

(2010年1月6日朝刊掲載)

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