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原爆で欠落 広島東照宮唐門 損傷前の彫刻写る絵はがき発見

■記者 山崎亮

 広島東照宮(広島市東区)で「平成の大修理」が進む中、原爆で一部が欠落した唐門(からもん)の彫刻が写った戦時中の絵はがきが見つかった。これまで損傷前の資料がなかったため、彫刻は現存部分から推測して修復する方針だった。復元に取り組む漆芸家で日本画家の荒木秀峰さん(67)=安佐北区=は「ほぼ完全な形で修復ができる」と喜んでいる。

 見つけたのは、荒木さんの知人福間健さん(68)=同区。約25年前から東照宮の保守に携わってきた荒木さんから「資料がなかなか見つからない」と聞き、探していたところ、市中央図書館と県公文書館で損傷前の彫刻部分が写った絵はがき2枚を見つけた。

 写真から、門柱横の彫刻(縦約2.5メートル、横約0.5メートル)と欄間(縦約0.6メートル、横約2.8メートル)がはっきりと確認できる。

 同じく友人の写真スタジオ経営浜田秋教さん(61)=同区=が、パソコンで絵はがきと現在の図柄を解析して資料を作製。工事を監修する文化財建造物保存技術協会から、復元用の資料として認定を受けた。

 東照宮の平成の大修理は、市重要有形文化財の唐門と翼廊(よくろう)を修理し、石段を積み直す。1648年の創建以来、初の大がかりな修理で、2008年から3年がかりで取り組んでいる。

 荒木さんは大修理を請け負った業者から彫刻の復元の依頼を受けた。現在、資料を基に復元図を作っている。「彫刻部分の修復は感慨深い」と東照宮の久保田訓章宮司(77)。荒木さんたちも「みんなの調査が実ってよかった」と話している。

(2010年1月6日朝刊掲載)

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