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山口彊氏が死去 二重被爆 核廃絶を訴え 93歳

 広島と長崎で原爆の被害を受けた二重被爆者の山口彊(やまぐち・つとむ)氏が4日午前5時38分、胃がんのため長崎市の病院で死去していたことが6日、分かった。93歳。長崎市出身。自宅は長崎市布巻町536の8。葬儀・告別式は近親者で済ませた。

 1945年8月6日に出張先の広島で、さらに帰宅後の9日に長崎でも被爆した。自らの経験を表立って話すことは少なかったが、2005年、生後半年で被爆した次男をがんで失ったことから、本格的に被爆体験を語り始めた。

 2006年制作の記録映画「二重被爆」に出演。ニューヨークの国連本部であった上映会にも足を運ぶなど、原爆の悲惨さと核廃絶を訴え続けた。2009年3月に長崎市が被爆者健康手帳に広島での被爆を書き加え、二重被爆を公式認定。海外メディアでも取り上げられた。

 プラハ演説で「核なき世界」を訴えたオバマ米大統領に感動し、6月に開いた講演会では「決意を深く信じたい。一緒に核兵器廃絶のため行動したい」と述べ、オバマ大統領に手紙を送ったことを明らかにした。

 長女の山崎年子さん(61)によると、8月に体調が悪化し入院。12月下旬には「タイタニック」で知られる米国の映画監督ジェームズ・キャメロンさんの訪問を受け、原爆をテーマにした映画の構想に聞き入ったという。

(共同通信配信、2010年1月7日朝刊掲載)

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