×

ニュース

バーで聞く被爆証言 50回 中区の「スワロウテイル」

■記者 東海右佐衛門直柄

 広島市中区本通のバー「スワロウテイル」の被爆証言を聞く集いが6日夜、通算50回を迎えた。2006年2月から月1回のペースで被爆者が「あの日」の記憶を語っている。経営者の冨恵洋次郎さん(30)は「若い世代が参加できる場として地道に続けたい」と誓う。

 50回目の証言者は、爆心地から1.5キロの自宅で被爆し、救護もした西区の会社役員新宅勝文さん(84)。「裸同然の人たちが熱い、助けてと叫び、地獄のようだった」「私の胸の中で息を引き取った人もいた。あの時の感触が忘れられない」―。約1時間の証言に8人が聞き入った。

 冨恵さんは被爆3世。接客中に原爆被害をうまく説明できなかった経験から、毎月6日夜の集いを始めた。県被団協の坪井直理事長(84)や漫画「はだしのゲン」の作者中沢啓治さん(70)も証言に駆け付けたことがある。

 冨恵さんは「バーで被爆証言を聞くことに驚く人もいたが、最近は何度も来てくれるお客さんもいる」。証言中は酒類は提供しない。次回は2月6日午後6時半から。ソフトドリンク付きで会費千円。Tel082(577)3270。

(2010年1月8日朝刊掲載)

関連記事
毎月6日にバーで被爆証言を開く集い 今月で丸3年(09年1月 7日)

年別アーカイブ