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平和協定 当事国会談を 6ヵ国協議 制裁解除なら復帰 北朝鮮声明

 北朝鮮外務省は11日、朝鮮戦争休戦協定を平和協定に転換するための会談を「休戦協定の当事国に提議する」とした上で、制裁解除を条件に6カ国協議復帰は「可能」とする声明を発表した。

 声明はまた、平和協定のための会談を「6カ国協議の枠内で進めることも可能だ」と指摘。非核化に取り組むには「朝米間の信頼構築に優先的に注目しなければならない」として、平和協定のための会談を先行させるよう求めた。

 昨年5月の2回目の核実験を受け強化された国連安全保障理事会の経済制裁の解除を条件としているものの、北朝鮮が「多国間協議」のようなあいまいな表現を排除し、6カ国協議復帰の可能性を公式に表明したのは初めて。協議復帰を駆け引きのカードとして、平和協定会談を足場にまず米朝関係改善を図ろうとする思惑があるとみられる。

 北朝鮮は昨年12月に平壌で行われた米朝高官協議でも、平和協定会談が最優先とする主張を展開。今年1月1日の新年共同社説でも、米国との「敵対関係の終息」を強調しながら、平和協定締結を求めていた。

 休戦協定の調印国は、北朝鮮と中国、当時の国連軍を代表した米国の3カ国だが、今回の声明では具体的に言及しておらず、韓国を含む4カ国を想定しているかどうかは不明。

 北朝鮮はこれまでも、平和協定締結を繰り返し主張してきたが、韓国を含むかどうかは明確にしてこなかった。2007年10月の第2回南北首脳会談でまとめた南北首脳宣言でも、平和協定会談は「戦争に直接関係する3カ国ないし4カ国」とされ、会談後、韓国内で論議となった。

北朝鮮外務省の声明要旨

 一、朝鮮半島非核化プロセスを再び軌道に乗せるには、核問題の基本当事者である朝米間の
    信頼構築に優先的に注目しなければならない。
 一、朝米の信頼構築のためにはまず平和協定を締結すべきだ。
 一、朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)から60年に当たる今年、休戦協定を平和協定に転換する会談を
    速やかに始めるよう、休戦協定の当事国に丁重に提起する。
 一、平和協定締結のための会談は6カ国協議の枠内で進めることも可能だ。
 一、対北朝鮮制裁が解除されれば、6カ国協議自体も直ちに開くことができるだろう。
 一、休戦協定の当事国が朝鮮半島の非核化を望むなら、これ以上自国の利益を優先して時間
    を停滞させてはならない。
(平壌共同)

朝鮮戦争休戦協定
 1950年に起きた朝鮮戦争で、53年7月27日、米軍を中心とする国連軍と北朝鮮、中国の3者が結んだ協定。韓国は休戦に反対し調印しなかった。協定で朝鮮半島は北緯38度線に代わり、軍事境界線とその南北それぞれ約2キロの非武装地帯(DMZ)で分断され、板門店に軍事休戦委員会が設置された。国際法上は今も戦争状態が継続しており、北朝鮮は一貫して平和協定への転換を要求。今年は開戦60年に当たり、韓国は記念行事を計画している。 (北京共同)

(共同通信配信、2010年1月12日朝刊掲載)

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