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原爆症認定の在外申請 新年度早々に開始へ 厚労省方針

■記者 岡田浩平

 海外に住む被爆者(在外被爆者)の原爆症認定で、厚生労働省は居住地の大使館など在外公館で申請を受け付ける措置を、新年度の早い時期に始める方針を固めた。

 原爆症の認定を求める在外被爆者は、各地の在外公館に医師による診断結果など書類を提出すれば、出国直前に住むなどしていた都道府県を通じて厚労省に届くようになる。厚労省は必要な資料がそろい次第、国内の認定と同様に、医師らでつくる審査会に諮り認定の可否を判断する。

 厚労省によると被爆者健康手帳を持つ人は韓国、米国、ブラジルを中心に35カ国に約4300人いる。

 認定されれば、医療特別手当(月額約13万7千円)が国から都道府県を通じて支給される。ただ、国内の認定被爆者が受けている医療費の全額給付については援護策が異なる。国によって医療や保険の仕組みが異なる点を理由に、認定されていない一般の在外被爆者と同様、年額16万1千~17万2千円(新年度予定額)を上限に助成されるにとどまる。

 在外被爆者は1974年の旧厚生省局長の402号通達で、日本を出国したら手当を受け取れなかった。2008年12月に改正被爆者援護法が施行され、被爆者健康手帳を海外から取得申請できるようになり、同法付則で原爆症の在外申請について「必要な措置を講じる」と定めていた。

 医療費についても同様に政府に改善を求めていたが、厚労省健康局総務課は「新年度も上限額を増額し、できる限りの対応ができるようにしている」と説明する。韓国の原爆被害者を救援する市民の会の豊永恵三郎広島支部長(73)は「在外被爆者は治療費や生活費にも困り、法改正後にも亡くなった人もいる。一日でも早く国内同様の援護を実現してほしい」と訴えている。

(2010年1月13日朝刊掲載)

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