×

ニュース

ヒロシマで建学の精神伝えたい 広島大 全新入生に平和の施設見学とリポート義務付け

■記者 下久保聖司

 広島大は4月入学の新入生全員に、平和の大切さを訴える独自のパンフレットを配布する。被爆都市ヒロシマで建学した大学の平和を尊重する精神を伝える初の試みで、記載した原爆資料館(広島市中区)などの見学とリポート提出も義務付ける。新入生へのアンケートを基に、2009年度には必須科目として平和に関する授業を開講する。

 A4判を四つ折りした両面カラー。4月上旬の学部別ガイダンスで、約2400人の新入生に配る。表題は浅原利正学長が自筆で「平和を希求する精神」と記し、あいさつ文でも「学生みんなで平和について考えていただきたい」などと呼び掛けている。

 見開き面では、初代学長の森戸辰男氏が制定した建学の精神「自由で平和な一つの大学」を紹介。見学などを義務付ける平和関連施設として、原爆資料館▽大和ミュージアム(呉市)▽旧海軍兵学校教育参考館(江田島市)▽大久野島毒ガス資料館(竹原市)▽ホロコースト記念館(福山市)の5施設を例示した。

 新入生は少なくとも1施設は見学し、5月にリポートを提出する。同時に、平和に関する意識や授業のあり方などについてアンケートを実施。結果などを基に、教養教育の必須科目として09年度に平和授業を開講する。現在も平和関連の授業は10余りあるが、いずれも選択科目だった。

 上真一副学長(教育担当)は「新入生の約7割が県外出身者。建学の精神を伝えるために、大学がメッセージを発する時期にきている」と狙いを説明する。

年別アーカイブ