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公約点検 松井広島市政半年 <上> 活性化・行革

tyle="font-size:16px;font-weight:bold;">「球場跡」ようやく議論

tyle="font-size:14px;font-weight:bold;">路線転換 見通せぬ今後

 広島市の松井一実市長は12日、初登庁から半年を迎えた。市長選の公約に基づき秋葉忠利前市長の主要施策を次々と転換する一方、旧市民球場(中区)の跡地活用策の練り直しなど新たな課題にも直面する。公約の半年後を点検し、今後の市政の方向性を探る。

 解体2期工事が進む旧市民球場。スタンドなど地上部分が姿を消す今月下旬、市は「若者中心のにぎわいの場」の方針で跡地活用の検討委員会を設ける。市長選で跡地計画見直しを訴えた松井市長。4月の就任から半年でようやく具体的な議論に入る。

 松井市長は6日の記者会見で「跡地活用にはさまざまな意見がある。駄目な案がなぜ駄目なのか、理由を示し絞り込めば必ずうまくいく」と自信をみせる。

 期限は現地を会場に全国菓子大博覧会が開かれる2013年春。市議会では早くも「跡地は国有地の公園だから商業施設が建てられないなど制約が多い。(秋葉前市長の)緑地広場より良い案が出るのか」との声も聞かれる。多くの市民が賛同する結論を導き出せるのか、松井市長の手腕を問う試金石となる。

trong>中止後も課題 trong>

 市長選で「反秋葉」を打ち出した松井市長。20年夏季五輪の招致▽折り鶴の長期保存・展示▽子ども条例制定―など前市政が検討していた施策を相次ぎ中止し、公約通り路線転換を印象付けた。

 だが旧市民球場の跡地計画のように、中止するだけでは解決しない懸案は他にもある。市営存続に見切りをつけ、広島県が提案する来秋の廃港・ヘリポート化を了解した県営広島西飛行場(西区)。広大な跡地問題と向き合うことになった。

 跡地43・8ヘクタールは県有地が大半を占めるが、松井市長と湯崎英彦知事は市が主体的に活用策を考えることで合意した。市は8月、庁内に検討会議を設置。12年度末をめどに「跡地利用ビジョン」をまとめる意向だ。

 松井市長が公約で最も力を入れた経済活性化。中小企業の販路拡大やエコビジネスの振興、観光ビジネスの推進などを掲げた。9月に地元業者保護の観点で公共事業の入札制度を見直したが、他に具体的な動きはない。

trong>議会に丸投げtrong>

 財政難の市は12年度からの4年間で計582億円の財源不足が生じる見込み。公共事業など多額の借金を伴う経済対策を選択できる状況にはない。限られた財源の中、広島らしい活性化策を打ち出すのは容易でない。

 行財政改革の公約では、市議会の定数や議員報酬の見直しを掲げたが、6月の市議会定例会での所信表明で「議会の判断にお願いする」と丸投げ。

 マニフェスト(公約集)で「1年以内に実行する」とした市長の退職金削減や市職員の給与、定数の見直しも未着手だ。1期4年で4087万円の退職金額は神戸、横浜に次いで19政令指定都市で3番目に高い。

 松井市長は所信表明で「厳しい行財政状況と真剣に向き合う」と強調した。自身の身を切る覚悟も含め、公約をどう実現していくのか。転換後の行方を市民は注視している。(藤村潤平)

≪松井市長の公約と半年後の状況≫

<table> <tr><td valign="top">trong>●公約trong>td><td>trong> ●半年後の状況td>trong>tr> <tr><td>2020年夏季五輪の招致反対td><td> 検討中止 td>tr> <tr><td>子ども条例の制定反対td><td> 検討中止td>tr> <tr><td>折り鶴保存施設の建設反対td><td> 建設を中止。折り鶴の活用策を考える委員会を設置 td>tr> <tr><td>旧市民球場跡地利用計画の熟議td><td> 「若者を中心としたにぎわいの場」の観点で新たな検討委を近く設置 td>tr> <tr><td>広島西飛行場のヘリポート化の熟議td><td> 広島県提案のヘリポート化を受け入れ、跡地活用を市が主体的に検討td>tr><tr><td>地域経済の活性化td><td> 地元業者保護の観点から入札制度見直しtd>tr> <tr><td>広島高速5号の整備促進td><td> ボーリング調査に近く着手td>tr> <tr><td>待機児童ゼロtd><td> 保育園定員の拡大(補正予算に関連経費) td>tr> <tr><td>議員定数・報酬への切り込みtd><td> 「議会の判断にお願い」 td>tr> <tr><td>職員の定数・給与への切り込みtd><td> 具体的動きなし td>tr> <tr><td>市長の退職金の削減td><td> 具体的動きなしtd>tr> table>
(2011年10月13日朝刊掲載)

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