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戦争体験 画集で継承 三原の岡田さん自費出版 

■記者 金井淳一郎

 三原市幸崎町の元美術教諭岡田黎子さん(80)が、自身の戦争体験の記憶をたどりながらまとめた画集「子どもたちの太平洋戦争」を自費出版した。旧日本軍の毒ガス製造工場があった大久野島(竹原市)での体験や被爆直後の広島市の様子などを描き出した。

 25センチ四方の大きさで35ページ。幼少期の1930年代前半から終戦の1945年ごろまでの体験が中心となっている。鉛筆描きの下絵に黒の水彩を重ねて34枚を仕上げ、解説や思いをつづった文章を添えた。

 1944年から翌年にかけ動員学徒として働いた大久野島の毒ガス製造工場での場面では、火薬袋を縫う少女たちの姿などを紹介。「一番心に焼き付いている」という救護活動で被爆直後の広島に行った場面では、焼け野原を目の当たりにする自身の姿や被爆した子どもを手当てした時の様子を克明に再現した。

 岡田さんは1985年まで美術教諭として三原市内の中学、高校に勤務。1989年には毒ガス製造工場での体験を描いた画集を出版した。今回は「若い世代を中心に『平和が当たり前』と思う風潮が広がっている」との危機感から再び画集作りを決意。1年がかりで作業を進め、昨年末に千冊の出版にこぎ着けた。

 「子どもたちに見てもらい、暴力は絶対に許さない気持ちをはぐくんでほしい」と岡田さん。知人らに約150冊を贈り、残りを1部1500円(送料は別)で販売している。岡田さんTel0848(69)1476。

(2010年1月25日朝刊掲載)

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