×

ニュース

19ヵ国・地域 37人参加 2月のAPECジュニア会議

■記者 明知隼二

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)高級事務レベル会合に合わせて2月に広島市内である「APECジュニア会議in広島2010」の概要が25日、固まった。APECに参加する21カ国・地域のうち、日本を含む19カ国・地域から37人の青少年が参加。「私たちと地球の未来―平和で豊かな社会を築くために」を全体テーマに意見交換する。地元の高校生たちもボランティアで会議を支える。

 会議は広島市と中国新聞社などの実行委が主催し、2月20日から23日までの4日間、中区の原爆資料館で開く。東京都在住の米国人詩人アーサー・ビナードさんが「人はみなコトバ次第? 食と言語と生き残り」と題して基調講演する。

 これを受けて参加者は、教育▽異文化理解▽食と貧困▽環境―の四つのワークショップに分かれ、英語で討議。最後に宣言にまとめ、同じ時期に開かれるAPEC高級事務レベル会合の関係者に手渡す予定だ。

 原爆被害を学ぶ機会も設ける。原爆資料館や平和記念公園を見学したり、被爆者の松島圭次郎さんの体験談を聞いたりする。基調講演や青少年の討議の様子は市民に公開し、一部で同時通訳も付く。

 平和学習や宮島見学の案内、参加者への記念品づくり、参加国・地域に関する資料づくりなどは地元高校生たちが担う。実行委とともに受け入れ準備を進めている。

 ジュニア会議の主な日程は次の通り。

 20日=開会式▽21日=原爆資料館見学、基調講演、ワークショップ▽22日=ワークショップ、宮島見学▽23日=全体会議


国内参加者の一言

 APECジュニア会議には国内から4人(うち広島市内から2人)が参加し、アジア・太平洋地域の参加者と意見交換する。被爆地での討議に向けた意気込みを4人に聞いた。

広島女学院高3年・串岡理紗さん(18)
 例えばフェアトレードのように、生活の中で取り組める平和もある。日々の買い物から貿易まで、経済と平和を分けて考える必要はないと、同世代の人に問題提起してみたい。

修道高1年・三宅利智君(16)
 広島では原爆の恐怖を学ぶけれど、海外では「投下は正しかった」と教わることもある。互いの考え方を徹底的に出し合い、海外と広島の若者の思いをつなぐ懸け橋になりたい。

桐蔭学園中等教育学校(横浜市)4年・小畠一真君(16)
 米国で暮らした時期に、外見の違いからつらい思いをしたこともある。違いを認めることは平和の大前提。被爆地での集いを相互理解と平和の一歩にしたい。

渋谷教育学園渋谷高(東京都渋谷区)2年・藤井萌子さん(16)
 きっと多様な意見がぶつかり合うが、未来を担う若者として「世界を良くしたい」との思いは共有できる。若者の行動につながる会議にしたい。

≪APECジュニア会議に参加する19カ国・地域≫
オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、米国、ベトナム

(2010年1月26日朝刊掲載)

関連記事
串岡さん・三宅君 国内代表に選出 APECジュニア会議(09年12月 2日)
APECジュニア会議in広島 実行委発足(09年10月26日)
APECジュニア会議 広島市で2月開催 環太平洋の未来像議論 (09年9月17日)

年別アーカイブ