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在韓被爆者訴訟 広島地裁も和解 1次提訴128人 大阪・長崎に続く

■記者 門戸隆彦

 国外に居住していることを理由に、健康管理手当の支給を打ち切られるなど被爆者援護法から切り捨てられ、精神的苦痛を受けたとして、在韓被爆者が国に慰謝料などを求めた集団訴訟は25日、広島地裁で、1次提訴の原告128人について国が1人当たり110万円を支払うことで和解した。

 一連の訴訟で、和解が成立したのは大阪、長崎に続き3例目。広島地裁では、さらに2~5次の計424人が係争中で、米国やブラジルなどに住む被爆者382人も同様の訴訟を起こしている。

 広島市中区の広島弁護士会館であった記者会見に出席した広島、長崎訴訟の弁護団長、在間秀和弁護士は「提訴から1年余りと早かった」と国の対応を評価。一方で「本来なら国が積極的に在外被爆者を探し出して賠償すべきだ」と述べ、提訴を賠償の条件とする国の姿勢を批判した。

 和解した原告は、出国した被爆者は健康管理手当などの受給権を失うと定めた旧厚生省局長通達(402号通達、廃止)によって援護の対象外とされ、精神的苦痛を受けたと主張していた。通達を違法とし、国に賠償を命じた判決が2007年に最高裁で確定。厚生労働省は賠償について提訴を条件としている。

(2010年1月26日朝刊掲載)

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