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連載・特集

復興の風 1954年 広島市中心部 街に活気 絵筆軽やか

 比治山(広島市南区)から西を望み、少年は絵筆を走らせる。9年前、原爆で焼き尽くされた街に、再び家が並んできた。

 京橋川に架かる手前の橋は比治山橋。右手奥の平和大通りでは工事が進む。左手の川沿いの白い建物は、初めて鉄筋で造られた昭和町の市営住宅だ。

 家族や友人を失い、心身共に傷ついた人々は、希望を捨てずに街を再建した。電車やバスの交通網を整え、商店街に活気を取り戻した。一人一人の営みが、国際平和文化都市の礎となった。

 広島の歩みはいま、東日本大震災の被災地に重なる。

 福島第1原発事故で全町避難を強いられている福島県浪江町の馬場有(たもつ)町長は「広島に習い、復興の力にしていきたい」と話す。8月6日、人類史上初の原爆で壊滅しながらも再び立ち上がった広島を訪れ、平和記念式典に参加する。(野田華奈子)

 連載「復興の風」は今回で終わります。写真や情報をたくさん寄せていただき、ありがとうございました。8月1日付夕刊に、提供写真の一部を掲載する予定です。

(2012年7月27日朝刊掲載)

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