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韓国で「第九伝説」朗読 広島の市民団体 3月訪問

■記者 武内宏介

 市民グループ「ヒロシマ第九伝説を広める会」は3月21~23日、大勢の被爆者が暮らす韓国慶尚南道の陜川(ハプチョン)などを訪れ、自主製作した絵本「よろこびのうた」韓国語版の朗読会を開く。原爆投下の翌年、音楽喫茶から流れるベートーベンの調べが人々を励ました「第九伝説」を伝える。

 陜川は、在韓被爆者が大勢暮らし、「韓国のヒロシマ」と呼ばれている。広める会の約15人は初日、被爆者約100人が暮らす原爆養護ホーム「陜川原爆被害者福祉会館」を訪問。韓国語を練習したメンバーが絵本を読む。絵本100冊を会館に贈る。2日目は広島市と姉妹都市提携を結ぶ大邱市でも朗読会を開き、帰国する。

 絵本の舞台は1946年の大みそかの音楽喫茶ムシカ(広島市南区)。レコード鑑賞会で流したベートーベンの交響曲第9番に、店外まで人々があふれた実話を描いている。鑑賞会を開いた「広島国際文化協会」は、日本人と朝鮮半島出身の音楽家や画家でつくっていたことから、今回の訪韓を企画した。

 訪韓に先立ち、広める会は両国の歴史研修会も開いて準備する。福本英伸事務局長(53)=廿日市市=は「第九が終戦直後の市民の心を癒やした。韓国の人に感謝を込めて朗読したい」と話している。

(2010年2月7日朝刊掲載)

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