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アッバス議長 広島訪問 パレスチナ自治政府 原爆資料館を見学

■記者 吉原圭介、加納亜弥

 パレスチナ自治政府のアッバス議長(74)は7日、来日日程の冒頭に広島市を訪れ、中区の平和記念公園で核兵器のもたらす惨状に触れた。

 秋葉忠利市長の案内で原爆慰霊碑に花を手向けた後、原爆資料館を国重俊彦副館長の説明で見て回った。なかでも被爆の急性症状で頭髪が抜けた姉弟の写真の前で立ち止まり、じっと見入っていた。

 約40分かけて見学し「広島、長崎の惨禍に心が痛んでいる」と芳名録に記帳。報道陣に向け「パレスチナ国民も戦争に苦しめられてきた。戦争がもたらすものは人類と文明の破壊。核兵器は廃絶すべきだ」と述べた。

 これに先立ち、広島空港(三原市)に専用機で到着したアッバス議長を広島県の湯崎英彦知事が出迎え、近くのホテルで懇談。議長は「全世界のリーダーは広島を訪ね、惨禍を学んでほしい。世界平和に向けた国際会議も広島で開催されるべきだ」と語った。

 アッバス議長の来日は2005年5月以来3回目。広島訪問は議長自身の希望で初めて実現した。10日に次の訪問先の韓国に向かう。

 アッバス議長は8日夜、鳩山由紀夫首相と官邸で会談し、オバマ米大統領が提唱する「核兵器のない世界」を目指すことを確認した。

(2010年2月9日朝刊掲載)

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