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平山画伯ふるさと納税 死の直前 広島県に 

■記者 加納亜弥

 尾道市瀬戸田町出身の日本画家平山郁夫さんが亡くなる直前の昨年11月、広島県にふるさと納税制度に基づく寄付をしていたことが12日、分かった。県は寄付金を基に「瀬戸内絵画教室」を開き、平山さんの美意識をはぐくんだ瀬戸内海の魅力を次世代に伝える。

 県が昨年10月、平山さんにふるさと納税制度を紹介したところ、快諾したという。平山さんは「自然の美に富んだ環境が私の美意識を育(はぐく)んでくれた」「健全な青少年を育てるために使われることは意義深い」との文章を寄せていた。

 平山さんは、日本美術界の重鎮であると同時に、アンコール遺跡(カンボジア)をはじめとする世界の文化遺産の保護活動にも尽力し、1998年に名誉県民になっている。

 旧制広島修道中学時代には学徒動員先で被爆した。「1945年8月6日の悲劇を二度と起こしてはならない。この訴えを世界に発信できる人材を生み出すためにも有意義に使ってほしい」との願いもまた、寄付の際に寄せた文章に込めた。

 寄付金額は平山さんの意向で明らかにしない。寄付自体も匿名を希望し、死去後に遺族が公表を了承した。

 県は寄付金を「県こども夢基金」に積み立て、今秋にも瀬戸内海の多島美を描く親子絵画教室を開く。県内の小学生と保護者20組40人を、プロの画家が指導。作品は県立美術館(広島市中区)で展示したり、県の観光PRに使ったりする。

(2010年2月13日朝刊掲載)

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