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被爆体験を講演 核廃絶呼び掛け ジュネーブで広島の佐久間さん

 NPT再検討会議の第2回準備委員会に関する講演会で23日、広島の被爆者、佐久間邦彦さん(68)=広島市西区=が被爆体験を語り、「核兵器廃絶に人類と地球の未来が懸かっている」と訴えた。被爆直後に降った「黒い雨」を浴びた証拠である放射線影響研究所(放影研、南区)の調査票も持参した。 (ジュネーブ発 田中美千子)

 ジュネーブ大の関連施設であった講演会は米国の平和団体などが企画。準備委に出席する各国政府代表たちも聞き入った。佐久間さんは広島県原水協から派遣された。

 佐久間さんは9カ月の時、爆心地から約3キロの己斐町(現西区)で被爆。母に背負われて避難する際に黒い雨を浴びた。10年後、腎臓や肝臓を相次ぎ患い、学校を長期欠席。死の恐怖におびえた。

 2011年、「黒い雨」を浴びたとされる約1万3千人のデータの存在が明らかになった。保管する放影研に照会し、母が聞き取り調査に応じていたことが分かった。

 佐久間さんは「被爆者は肉体的、精神的に苦しんできた」と強調。福島第1原発事故にも言及し「人類と核は共存できない」と言い切った。

 日本被団協の藤森俊希事務局次長(69)=長野県茅野市=も広島での被爆体験を語った。爆心地付近で被爆した姉の行方はいまだ分からず、「核兵器は悪魔の兵器だ」と断じた。

(2013年4月24日朝刊掲載)

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