×

ニュース

「ゲン」に込めた反核精神 中沢さん 原爆資料館で講演 広島

■記者 桑田勇樹

 広島市中区出身で、漫画「はだしのゲン」の原作者中沢啓治さん(70)=埼玉県所沢市=が14日、同区の原爆資料館で講演した。自身の被爆体験や作品に込める平和への願いを、約300人が聞いた。

 中沢さんは6歳で、爆心地から1.2キロ南西の旧神崎国民学校の裏門付近で被爆した。母も被爆し、1966年に亡くなった。火葬した母の頭蓋(ずがい)骨はもろく、「原爆は骨まで取っていくのかと憤り、漫画で原爆の問題を徹底的に追及してやろうと思った」と語った。

 白内障の悪化などで執筆を断念した「はだしのゲン」第2部の構想にも触れた。自分が被爆者として差別された経験を明かした上で「第1部の最後で東京に行ったゲンが、どういう生活をしたか想像して」と語り掛けた。

 中沢さんは「核兵器廃絶は誰かがやってくれるのではなく、各自が頑張らないといけない」と締めくくった。同館の主催。南区の皆実小4年柿村海翔君(10)は「なぜ戦争が起きてしまうのか考えてみる」と話していた。

(2010年2月15日朝刊掲載)

関連記事
「はだしのゲン」未完の第2部 中沢さん 資料館に原画寄贈へ (10年2月 5日)
中沢さん原画 報道陣に公開 原爆資料館で90枚 (09年12月25日)
中沢啓治さん 原画など到着 原爆資料館(09年12月18日)

年別アーカイブ