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NPT声明不賛同の日本政府に抗議デモ 広島市長も「納得できぬ」

 2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で、核兵器の不使用を求める共同声明の賛同国に日本が加わらなかったことに抗議し、被爆者や非政府組織(NGO)のメンバーが24日、スイス・ジュネーブの日本政府代表部に向けてデモ行進をした。現地入りしている松井一実広島市長も「納得できない」と不満を示した。(ジュネーブ発 田中美千子)

 準備委の関連会合出席でジュネーブに来ていた20カ国の約70人が参加。準備委会場の国連欧州本部を出発し、「ノーモア・ヒバクシャ」などと叫びながら約30分かけ行進した。広島の被爆者、佐久間邦彦さん(68)=広島市西区=は「ヒロシマの願いは裏切られた」と声を張り上げた。

 デモを主導した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲共同代表は「政府は核兵器廃絶より、古い安全保障の論理を優先させた」と批判した。

 一方、松井市長と長崎市の田上富久市長は同日、ジュネーブ軍縮会議政府代表部の天野万利大使と面会。「段階的に核廃絶に向けた手続きを重ねるという日本政府の方針とは違った。一部修正してもらおうと交渉したが、時間切れとなった」と説明を受けたという。

 面会後、松井市長は「声明の内容は被爆地の願いに重なり、言い回しも問題ない。不可解な結果だ」と政府の対応を疑問視し、田上市長も「日本は核兵器廃絶に向けた姿勢を示す機会を逃した」と残念がった。

(2013年4月25日夕刊掲載)

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