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広島発 世界を変えよう APECジュニア会議開幕

■記者 明知隼二

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の参加国・地域の青少年が被爆地に集う「APECジュニア会議in広島2010」の開会式が20日、広島市中区の原爆資料館東館であった。23日までの4日間、ニュージーランドと香港を除く19カ国・地域の37人が、若者の視線で地域課題に向き合い、解決のための行動計画をまとめる。

 開会式で参加者たちは、安芸府中高(広島県府中町)吹奏楽部5人の演奏に迎えられて登壇。代表して渋谷教育学園渋谷高(東京都渋谷区)の2年藤井萌子さん(16)と、修道高(広島市中区)の1年三宅利智君(16)が開会を宣言した。

 会議の全体テーマは「私たちと地球の未来―平和で豊かな社会を築くために」。環境など4テーマのワークショップや全体会議で英語での意見交換を重ね、大人への提案と自分たちの行動計画を宣言にまとめる。最終日の23日、同時期に市内で開かれるAPEC高級事務レベル会合の議長に手渡す。

 最年少参加者で、温暖化問題に関心がある韓国のカン・ドンウ君(13)は「若者には世界を変える力がある。緑豊かな未来のために、最高の宣言文をつくって大人を動かしたい」と意気込んでいた。

 ジュニア会議は、2008年9月に市内であった主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)に向け、中国新聞の連載「ひろしま国」のジュニアライターが開催を提案。G8議長が賛同し、具体化を託された広島市や中国新聞社などが実行委を結成して準備を整えた。

 21日は午後1時50分から原爆資料館東館で詩人アーサー・ビナードさんの基調講演がある。市民も傍聴できる。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)
 経済協力促進のため1989年に始まった地域フォーラム。日本や東南アジア諸国、米国、中国、ロシアなど21カ国・地域が参加する。93年から首脳会議も開き、討議テーマは「人間の安全保障」などにも拡大した。今年は日本が議長国で、11月に横浜市で開かれる首脳会議に向け、今月22、23日には広島市内で高級事務レベル会合がある。


「議論深めて」運営支援 広島の高校生 和太鼓で交流も


■記者 明知隼二

 広島市内で20日開幕した「APECジュニア会議」では、地元の高校生たちが歓迎行事を盛り上げ、アジア太平洋地域からの同世代を温かく迎え入れた。早速、一緒に和太鼓をたたき、国際交流の輪が広がる場面もあった。23日までの期間中、地元の若者たちは引き続きボランティアとして会議の運営を支える

 中区の広島厚生年金会館であった歓迎レセプション。広島文教女子大付属高(安佐北区)の13人と山陽高(西区)の7人が力強く和太鼓をたたき、迫力あふれる掛け声とともに会場を沸かせた。

 両校の生徒の指導を受け、ジュニア会議参加者もばちを握る。直径1.2メートルの4尺太鼓に挑戦したメキシコのエリ・サトウさん(18)は「音が大きくて耳が痛い。すごい音」と声を弾ませた。

 レセプションで受付を担当したAICJ高(安佐南区)1年の岡田佳奈さん(16)は「みなさんが気分よく過ごせ、議論に集中できるよう、環境づくりを手伝いたい」。笑顔で参加者を出迎え、会場へいざなっていた。

 21日以降も地元の高校生ボランティアは、平和記念公園(中区)や宮島(廿日市市)を案内したり、写真撮影や討議内容の記録係を務めたりする。

(2010年2月21日朝刊掲載)

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