×

連載・特集

折り鶴に乗せて <2> 像の前で

歌と祈り 国内外から

 佐々木禎子さんをモデルにした少女が折り鶴を掲げる。平和記念公園(広島市中区)の「原爆の子の像」。国内外から訪れた子どもの歌声と祈りがいつも響いている。

 「たくさんの鶴を折るうちに、禎子さんの『生きたい』という願いを感じとれた」。愛媛県西条市の神拝(かんばい)小6年、曽我部恭太郎君(12)はそう話す。7月中旬、同級生171人と千羽鶴5束を像にささげた。

 根気のいる作業を通して、被爆の悲劇と平和の尊さを体感できる。禎子さんの物語が平和学習に取り入れられる理由の一つでもある。広島市によると2012年度、像にささげられた折り鶴は約1300万羽に上る。

 像は高さ約9メートル。禎子さんが亡くなって3年後の1958年に建てられた。市内の児童生徒が募金を呼び掛けた。「同世代の話をすると、子どもの反応が違う」とボランティアガイドの山根和子さん(70)=西区。像の前で、禎子さんと同じ2歳で被爆した体験を話し、命の重みを伝えている。(秋吉正哉)

(2013年7月30日夕刊掲載)

年別アーカイブ