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連載・特集

折り鶴に乗せて <4> 国境を超えて

不戦のメッセージ浸透

 外国人旅行者に人気の「Hana Hostel(ハナ・ホステル)」(広島市南区)は、ロビーに折り紙を常備している。宿泊するカナダの大学生エバン・スノウさん(26)は7月下旬、友人と鶴を3羽ずつ折った。

 小学生のころ、佐々木禎子さんを描いた本を読み、折り方を覚えた。手を動かすたびに「罪のない子どもを二度と戦争に巻き込んではならない」と思う。

 ホステルは折り方を英文で説明する手引も作った。千羽集まると、原爆の子の像(中区)にささげる。

 オーストリアの作家が1961年に書いた「サダコは生きる」は20カ国語、カナダ出身のエレノア・コアさんが記した77年の「サダコと千羽鶴」は8カ国語に翻訳されている。サダコの物語は、世界中に浸透している。

 NPO法人「ANT―Hiroshima」(中区)も本を作った。アフガニスタンやパキスタンで使われる言語も含み15カ国語に翻訳した。「禎子さんのように、夢や希望を諦めないで」と渡部朋子理事長(59)。本を紛争地に贈り続ける。(新山京子)

(2013年8月1日夕刊掲載)

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