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連載・特集

折り鶴に乗せて <5> 再生

灯籠に加工 願い凝縮

 白い再生紙に青や黄の断片がちりばめられている。折り鶴を細かく刻んだ紙を混ぜて仕上げる。

 広島市中区の障害者作業所「わくわく」では8月6日夜に向け、この再生紙で灯籠を作る作業の真っ最中だ。6作業所で計1500個を準備する。

 灯籠作りは、中区のNPO法人千羽鶴未来プロジェクトが企画した。吉清有三事務局長(64)は「処分されるのは、しのびなかった」と明かす。

 平和記念公園(中区)の「原爆の子の像」には、年間約10トンの鶴が届く。松井一実市長は、市の方針をそれまでの保管から再生利用に転換。100トン近い保管分も合わせて紙やノート、名刺に姿を変えてきた。

 灯籠は、原爆ドーム(中区)対岸の元安川親水テラスから流す。灯籠流しを主催する市中央部商店街振興組合連合会の若狭利康専務理事(57)は「再生紙を使えば、折り鶴に託された思いも灯籠に込められる」と喜ぶ。

 原爆の日の夜、灯籠に転生した折り鶴は平和の願いを再び乗せ、川面を運んでいく。(折口慎一郎)=おわり

(2013年8月2日夕刊掲載)

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