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連載・特集

行こうよ おかやまミュージアム 岡山空襲展示室

焼夷弾復元 被害伝える

 1945年6月29日、岡山市の上空にB29138機が現れ、約883トンの焼夷(しょうい)弾を落とした。1737人以上の命を奪い、当時の市街地の63%を焼き尽くした。岡山空襲である。

 投下した焼夷弾のうち、E―48集束焼夷弾は2187発(約496トン)と5割以上を占めた。その模型が、展示室入り口に置いてある。直径約50センチ、全長約152センチで茶緑。そばにE―48の中に38発入るM74焼夷弾の模型と、実物もある。

 模型は、市が空襲体験者の情報や米軍資料を基に復元。4月、常設展示を始めた。

 本物のM74には、ゼリー状のガソリン1・3キロと、殺傷能力の高い黄リンが入っていた。岡山空襲では、E―48が上空1・5キロでばらけて、M74に分かれ地面で爆発。ガソリンや破片をまき散らし、人や木造家屋に被害を与えた。

 「一般市民を標的にした恐ろしい兵器。戦意喪失を狙った」と学芸員の楢原生子(ならばら・いくこ)さん(28)。「戦争の恐ろしさを考えるきっかけにしてほしい」と訴えた。(中井幹夫)

 <メモ>
岡山空襲展示室は、岡山シティミュージアム内にあり、岡山市が昨年10月に開設。空襲後の惨状を示す写真や、焼け焦げた時計など約5600点を所蔵。月曜休館で入場無料。駅元町15の1、リットシティビル5階。Tel086(253)7070。

(2013年8月15日朝刊掲載)

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