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イラン核 弾頭化の可能性言及 IAEA、報告書で警告

 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は18日、イラン核問題の報告書を理事会(日米など35カ国)に配布し、同国が「ミサイル搭載用の核弾頭開発につながる活動を秘密裏に行っている可能性がある」と懸念を表明した。欧米諸国はイランの核兵器開発の可能性を指摘してきたが、IAEAによる言及は初めて。異例の踏み込んだ表現で、イランの核開発に重大な疑いがあると警告した。

 昨年12月の事務局長就任後、天野氏がイラン核問題報告書を公表するのは今回が初めて。エルバラダイ前事務局長の「核兵器製造の完全な証拠はない」とする発言を盾に核開発を「平和目的」としてきたイランは打撃を受けた格好だ。

 また、IAEA外交筋は18日、イランの表明通り、同国が濃縮度19.8%のウランを実際に製造したことを確認した。欧米が新たな経済制裁に向けた動きをさらに加速させるのは必至だ。

 報告書によると、IAEAは「これまでに集めたさまざまな情報」に基づき「核やミサイルに関連する数多くのプロジェクト」の実施の可能性を指摘、イラン側に説明を求めた。

 また、濃縮度約20%のウラン製造作業に使われる遠心分離機について、報告書は比較的少数の「164基」とした。IAEA外交筋は「10キロの低濃縮ウランを原料に、濃縮度約20%のウランが1日100~200グラム程度つくられている」と述べた。

 報告書によると、イラン中部のナタンズでは1月末時点で、計約8600基の遠心分離機が設置され、約3770基が稼働、これまでに計約2トンの濃縮ウランが製造された。核兵器1~2個分の原料に相当するとみられる。

(共同通信配信、2010年2月20日朝刊掲載)

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