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「核なき世界」日豪連携 外相会談で共同声明 捕鯨問題は対立

 オーストラリアを訪問中の岡田克也外相は21日、スミス外相と同国西部のパースで会談し、オバマ米大統領が提唱した「核兵器のない世界」実現への連携をうたった共同声明を発表した。捕鯨問題では、スミス氏が共同記者会見で国際司法裁判所に提訴する可能性に言及し、日豪間の対立が表面化した。

 共同声明は「核抑止力の役割」を認めた上で、非核保有国への核兵器使用禁止などを目指し、議論を深めるとも明記。核軍縮・不拡散をめぐり5月に予定される核拡散防止条約(NPT)再検討会議へ緊密に連携する方針も確認した。

 北朝鮮には6カ国協議への即時復帰を求めるとともに、国連の全加盟国に対北朝鮮制裁決議の履行を要請。「アジア太平洋地域の平和と繁栄には米国の関与が重要」と指摘し、日米豪3カ国の協力強化を盛り込んだ。

 自衛隊とオーストラリア軍が相互に食料や燃料などを提供する物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向けた協議を3月上旬から始めることでも合意した。

 スミス氏は共同会見で、捕鯨問題への対応について「国際捕鯨委員会(IWC)で解決できなければ国際司法裁判所に持ち込み、南洋での調査捕鯨停止を求める」と明言した。岡田氏は「非常に残念だ。IWCまたは2国間でしっかり協議すべきだ」と反論。一方で同行記者団に「提訴される可能性はある。司法の場で決着するのも合理的な解決方法だ」と述べ、裁判になれば日本の主張を強く訴える考えも示した。

(2010年2月22日朝刊掲載)

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