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被爆の実相を重視 資料館検討委 計画原案了承 7年かけ順路改修

■記者 東海右佐衛門直柄

 原爆資料館(広島市中区)の展示見直しを考える市の基本計画検討委員会(今中亘委員長)は24日、計画原案を了承した。限られた時間でも被爆の非人道性を学べるよう、2010年度の基本設計から約7年かけて改修する。市は原案を踏まえ、5月をめどに基本計画を決定する。

 原案は昨年11月にまとめた計画素案に沿った内容。東館1階から3階までの直通エスカレーターを新設し、順路を変更する。見学者は(1)東館3階で、廃虚となった街の写真や映像による導入展示に触れる(2)本館で遺品や被爆資料に接する(3)東館に戻り、核兵器開発の動向や廃絶への活動を学ぶ―ことになる。

 市は昨年12月、計画素案に対する市民意見を募集。寄せられた46件の意見を受け、海外向け広報の充実▽点字と音声による解説の導入検討▽観覧料(大人50円、小人30円)見直しの検討―などに取り組む方針を追加した。

 資料館は本館が1955年、東館は1994年に開館。2003年度の調査で平均見学時間45分のうち、被爆の実情を伝えるメーンの本館部分が約19分と短いことが判明し、2008年から有識者でつくる検討委で議論してきた。

 市は12~14年度に東館、14~16年度に本館と渡り廊下を改修する予定で、工事期間中はそれぞれの館が閉館する。総事業費は約46億7千万円を見込む。

(2010年2月25日朝刊掲載)

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