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「広島に文学館を!市民の会」 3月末で活動を停止 

■記者 伊藤一亘

 広島ゆかりの作家や文学作品に関する資料の展示施設づくりを目指した「広島に文学館を!市民の会」(代表・水島裕雅広島大名誉教授)が、3月末で活動停止することを決めた。結成から10年、約140人の会員が文学館の必要性を訴え続けたが、「広島市に文学館建設の意思がない中、活動を続けることは、市民を期待させ、だますことになる」と決断した。

 今後は「市民の会」の前身で、休止していた「広島文学資料保全の会」を再開し、資金や管理する文学資料なども移行する。

 「市民の会」は2001年1月、広島市が旧日銀広島支店(中区)の活用アイデアを市民から公募したのに合わせ、大学教授や歌人、文芸愛好者を中心に発足。市が同支店を常設施設としない方針を決めると、平和記念公園内の市レストハウス(中区)の活用案として、文学館開設を模索してきた。

 その間、2001年7月に原民喜や峠三吉ら5人をテーマにした「原爆文学展」を開催。原爆文学作品の電子化や英訳、大田洋子らをテーマにした小冊子の発行などを通じ、広島市内への文学館設置の必要性を訴えてきた。

 「保全の会」に移行後も、文学資料の収集活動は継続し、文学館開設を目指した理念を守る。水島代表は「文学館がない以上、文学資料を散逸させないため、どこかが『集める』という意思表示が必要だ。原点に戻って活動したい」と話している。

(2010年2月25日朝刊掲載)

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