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「黒い雨」領域など国内外の研究報告 原医研

■記者 明知隼二

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)は3日、広島の原爆投下直後の「黒い雨」に関する研究報告会を広島市南区の同大霞キャンパスで開いた。4日まで、国内外の研究者たちが降雨域や放射線量などについて13の研究成果を発表する。

 ロシアのブルナシヤン連邦医学物理センター(モスクワ)のエフゲニヤ・グラノフスカヤ研究員は、1950年代の旧ソ連の核実験で、核分裂生成物のうち0.8%が地上に降下したというデータを基に、広島では8月6日から1年間の累積線量が最大46ミリグレイだったと推定した。

 京都大原子炉実験所(大阪府)の今中哲二助教の研究グループが2月末、広島市内の土壌を解析して黒い雨による放射線量を「(国が定める通常の年間被曝線量限度の約50倍に相当する)最大50ミリグレイ」と推計しており、原医研の星正治教授は「今中氏のデータを裏付ける一つの要素になる」と評価した。

 この日はほかに、広島上空に発生したきのこ雲の高さを推計したり、降雨エリアの時間変化を推定したりする調査について報告があった。

(2010年3月4日朝刊掲載)

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