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被爆土壌 ウラン初検出 「黒い雨」報告会 放医研が発表

■記者 明知隼二

 被爆直後の広島で採取した土から、原爆爆発時に放出したとみられるウランが初めて検出されたことが4日、わかった。放射線医学総合研究所(千葉市)の研究員が広島市南区の広島大霞キャンパスであった「黒い雨」研究報告会で発表した。これまでセシウムなどは検出されていたが技術的に難しいウランの報告はなかった。

 同研究所のサフー・サラタ・クマール主任研究員が、原爆投下2日後の1945年8月8日に広島入りした理化学研究所の故仁科芳雄博士らが採取した七つのサンプルにあらためて着目。質量分析の手法を使って自然界には存在しないウラン236を検出した。線量については正確な分析を続けているという。

 京都大原子炉実験所(大阪府)の今中哲二助教は「これまでウラン236の検出は技術的に難しかった。科学的な事実がまた一つ積み上げられた」と評価する。

 またロシアのブルナシヤン連邦医学物理センターの研究グループは、旧ソ連のセミパラチンスク核実験場で得られたデータを応用し、広島での黒い雨による内部被曝の線量を試算。黒い雨で汚染された草を食べたヤギの乳を1歳以下の乳児が飲み続けた場合、甲状腺の最大被曝線量が1グレイにのぼると推計した。

(2010年3月5日朝刊掲載)

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