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「黒い雨」地域居住 4韓国人に受診者証 広島市

■記者 増田咲子

 広島市は4日、原爆投下直後に降った「黒い雨」地域に住んでいた韓国人4人に、健康診断受診者証を手渡した。受診者証は在外公館で申請できず、取得には来日する必要があるため、在外被爆者や支援団体は制度改正を求めている。

 この日受け取ったのは、大邱市の白殷銑(ペクオンセン)さん(74)、釜山市の白月香(オルヒャン)さん(70)、咸陽郡の白月銑(オルセン)さん(68)、居昌郡の白甲鍾(カプジョン)さん(65)のきょうだい4人。

 白さん一家は当時、安佐郡伴村(現広島市安佐南区)に居住。勤務先の工場で被爆した、きょうだいの長男が昨夏に被爆者健康手帳を取得した際、きょうだいの当時の住所が確認できたため、広島市側が受診者証の存在を伝えたという。

 被爆者援護法では、黒い雨地域に住んでいただけでは被爆者健康手帳の取得はできない。しかし、受診者証を取得し、国が定める11種類の疾病にかかっていれば手帳に切り替えることができる。一方、援護法改正により手帳は一昨年12月から海外で申請できるようになったにもかかわらず、受診者証の申請には来日が必要だ。

 同行した韓国原爆被害者協会の許萬貞(ホウマンジョン)さん(77)は「幼くて黒い雨が降ったのを覚えていない人もいる。帰国したら黒い雨地域を周知する。在外公館で申請できるよう求めたい」と話していた。

 厚生労働省は受診者証が居住国で申請できない理由として、在外公館の体制が整っていないことを挙げている。

(2010年3月5日朝刊掲載)

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