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カザフで放射性物質 広島のシンポ 研究者発表 ウラン鉱山周辺

■記者 明知隼二

 カザフスタン北部にあるウラン鉱山とその関連施設の周辺で、大気や食品から通常よりも高濃度の放射性物質が検出されていることが5日、わかった。広島市南区の広島大広仁会館であった、放射線被曝(ひばく)に関する国際シンポジウムで同国の研究者が発表した。

 アスタナ医科大のカジンベット・ポラット博士は、ウランを採掘・加工するステプノゴルスク化学コンビナートから6~8キロ離れた11の集落で、住宅や学校内の空気と、牛肉や牛乳などの食品を解析。学校の教室で通常の10倍以上の放射性物質ラドンが測定されたという。

 また鉱山から100キロ離れた集落と食品を比較したところ、肉から最大3倍の放射性物質ポロニウム、牛乳からも最大3倍のウランを検出した。これらのデータを基に、呼吸や食事を通した年間の最大被曝線量を、一般人の年間被曝線量限度の約10倍にあたる、9.75ミリシーベルトと推計している。

 また調査を実施した地域では、がんなどの発生率が国内平均に比べて高いと指摘した。

 報告したポラット博士は「放射線の影響が出ているのではないか。ウランは年々増産されており対策が急務だ」と話している。

(2010年3月6日朝刊掲載)

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