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折り鶴ミュージアム整備 広島市 新年度予算案に検討費

■記者 野田華奈子

 広島市は、国内外から寄せられる折り鶴を長期保存・展示する「折り鶴ミュージアム」(仮称)の整備に向けた検討に着手する。2010年度当初予算案に初めて関連経費を盛り込んだ。ミュージアム構想は秋葉忠利市長が公約に掲げているが、市議会には折り鶴の保存自体に批判的な声が根強い。

 折り鶴ミュージアムでは20~30年分の保存を想定する。市は構想の具体化に向け、2010年度中に外部の有識者で構成する検討委員会を設置。規模や建設場所、展示方法などの方向性を打ち出す。予算案に関連経費約90万円を計上した。秋葉市長は「例えば東京ドームのような」と語り、大規模な施設と説明している。

 市には年間、世界中から折り鶴が平均1千万羽以上(約10トン)寄せられている。子どもたちが平和学習で折るケースも多い。2001年度までは焼却処分していたが、それ以降は平和記念公園内の「原爆の子の像」にささげられた後、市の未利用施設で保存中。旧広島市民球場(中区)でも約1600万羽を一般向けに公開展示している。

 一方、市が旧市民球場跡地利用計画に位置付けている折り鶴ホール(仮称)は別の計画となる。折り鶴ホールは折り鶴を展示するが、保存はせず、音楽や芸術イベントに活用するホールを主な機能にする。

 ただ、市議会には折り鶴ホールに対して「原爆の子の像があり、必要性に乏しい」との批判が根強くある。さらに大規模な施設となる折り鶴ミュージアムの整備について、理解が得られるかどうかは不透明だ。

 市平和推進課の澳(おく)和明被爆体験継承担当課長は「平和を願って折った鶴を物理的な量で示すことで、子どもたちの思いの大きさを感じてもらいたい」と狙いを説明している。

(2010年3月10日朝刊掲載)

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