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広島で原民喜しのぶ上映会 足跡たどる映像作品

■記者 松本大典

 被爆者で作家の原民喜の没後57周年(13日)を前に、小説「夏の花」をモチーフに映像作家の宮岡秀行さん(40)=広島市安佐南区=がつくったデジタルビデオ作品の上映会が9日、広島市中区の市まちづくり市民交流プラザであった。

 上映会には、民喜をしのぶ広島花幻忌の会の会員ら約100人が参加した。作品「ヒロシマ、メーロス」は、「夏の花」につづられた被爆当時の民喜の足跡をたどりながら、今も残る被爆した樹木や建物などを訪ねる趣向。朗読と、広島市出身の作曲家細川俊夫さん指揮の「ヒロシマ・声なき声」の響きが映像に重なり、平和へのメッセージを来場者の心に刻んだ。

 上映後には宮岡さんが制作プロセスを紹介。「被爆当時の映像を何本も見たが、過去の映像は使わずに勝負したいと思った」「『夏の花』は、60年前につながる優れた記録だ」と作品への熱い思いを語った。

 上映会に先立って、花幻忌の会は、原爆ドーム脇で碑前祭を開き、花と民喜の詩などの朗読をささげた。西区中広町のフリーカメラマン吉岡早百合さん(43)は「見る人の想像を誘う作品だった」と話し、平和や核廃絶への思いを新たにしていた。

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