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被爆前の榎・堺町 詳細図で再現へ 本川小同窓 炭広・中村さん

■記者 馬上稔子

 広島市中区の本川小で同級生だった炭広伸治さん(60)と中村秀夫さん(60)が、地元榎町と堺町の原爆投下前の街並みを戸別詳細図で再現するため、住民からの聞き取り調査や資料探しに励んでいる。

 作成中の詳細図には、1943~44年当時の約750世帯・商店の名が書き込まれている。一帯は鮮魚などの市場が3カ所あり、商店も目立つ。乾物店が並ぶ通りもあり、にぎわいがうかがえる。

 2人は昨年7月、還暦を機に、本川小の同窓会を企画した。中村さんが一帯の古い地図を保存していることを知り炭広さんは2007年に亡くなった父=当時89歳=が生前に地図を集めていたことを思い出した。

 炭広さんが近所の住民に尋ねたところ、父が作成していた詳細図を発見。しかし、天満川沿岸の部分など一部が空白だったため、中村さんと調査に乗りだした。

 2人はこれまで、地元の古老5人を訪ね、当時の記憶をたどった。市公文書館などでも資料を調べ、空白だった部分や誤って記されていた約50世帯・商店の名を割り出した。

 「話を聞けた人の大半が当時は小学生で記憶があいまいだった」と炭広さん。苦労はするが「当時を知る人が少なくなっている今、完成を急ぎたい」と打ち込む。中村さんも「復元により、その時代を生きた人たちの気持ちが少しずつでも分かってくるのでは」と話し、同学区全体の詳細図作成を目指す。

(2010年3月19日朝刊掲載)

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