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核廃絶へ市民と対話 東ティモール大統領

■記者 金崎由美

 広島県を訪問中のノーベル平和賞受賞者、ジョゼ・ラモス・ホルタ東ティモール大統領(60)が県民・市民と交流する「ラモス・ホルタ大統領との対話~核兵器廃絶と平和構築を目指して」(中国新聞社主催)が19日、広島市中区の原爆資料館東館であった。

 約300人を前に、核兵器廃絶と平和構築をテーマに対話。被爆者2人と大学生4人が登壇し、秋葉忠利市長と湯崎英彦知事もコメンテーターとして同席した。

 大統領は、被爆者の岡田恵美子さん(73)の「核兵器がある限り、世界に平和は来ない」との訴えに「核兵器ではなく、市民の力や民主主義こそが私たちを安全にする」と応じた。核兵器廃絶に向けた日本の指導力に期待するとともに「歴史上の不信を越え、中国・韓国とより良い関係を構築して」と注文した。

 また平和構築をめぐっては、広島大総合科学部4年の青山睦紀さん(23)が、紛争を経て国家をつくるリーダーシップについて質問。「社会の亀裂を埋め、人々の心を癒やすこと。自分のビジョンを持ち、説明できることも必要だ」と語った。

 対話集会に先立って大統領は「ヒロシマ-千羽鶴の都市から核兵器も貧困もない世界へ」と題して基調講演した。


東ティモール大統領 原爆資料館を見学


■記者 増田咲子

 ノーベル平和賞受賞者17人が核兵器のない世界に向け、中国新聞を通じて発表した「ヒロシマ・ナガサキ宣言」に署名している東ティモールのジョゼ・ラモス・ホルタ大統領。19日は、広島市中区の原爆資料館を見学し、被爆者の声に耳を傾けた。原爆の子の像に折り鶴をささげるなど、ヒロシマと向き合った。

 大統領は広島市の秋葉忠利市長の案内で、原爆慰霊碑に花輪を手向けた後、3回目となる原爆資料館を見学。白血病で亡くなった佐々木禎子さんのコーナーに見入った。18歳の時、爆心地から1.5キロの地点で建物疎開中に被爆した阿部静子さん(83)=広島県海田町=からは、被爆当時の状況やケロイドに悩まされた経験などを聞いた。

 記者会見では、5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け「核不拡散に向け、強い行動を取りたい」と強調した。

 また午後6時から、原爆資料館であった県民、市民との対話集会では、紛争を乗り越えた東ティモールの平和に向けた取り組みを紹介。憎しみを乗り越え、平和実現のために世代を超えて努力する大切さを強調していた。

(2010年3月20日朝刊掲載)

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