×

ニュース

消極的安全保障を要請 NPT会議で日豪提案へ

■記者 岡田浩平

 岡田克也外相は23日、5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議にオーストラリア政府と共同提案する内容を発表した。核軍縮や不拡散など国際社会が取り組むべき16項目を盛り込んだ作業文書として再検討会議に提出し、NPT加盟国に賛同を求めていく。

 核兵器の保有国に対し、NPTを順守する非保有国を核攻撃しないと約束する「消極的安全保障」の強化を要請し、核兵器の役割低減にも言及するよう求めているのが特徴だ。

 このほか、保有国の核能力の透明性向上▽兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の早期妥結▽平和目的の原子力利用の権利の再確認―なども提案している。

 日豪両政府は先月の外相会談で「核兵器のない世界」へ向けた共同声明を出すなど、NPT再検討会議を前に連携を強めている。ただ外相共同声明では「核兵器の唯一の役割を核抑止に限定する」方向を打ち出したが、今回は「役割低減」との表現にとどまった。この点について岡田外相は記者会見で「より現実的な案」と述べ、再検討会議の最終文書への反映に全力を挙げる考えを示した。

日豪提案要旨

 一、すべての核保有国に対し、2国間や多国間での核軍縮交渉開始を要請。核兵器数を増加さ
    せないと早期に約束するよう要求。

 一、NPTで核保有を認められている5カ国に対し、NPTを順守している非核保有国には核兵器を
    使わない「消極的安全保障」の強化を要請。

 一、核保有国に対し、非軍事目的の核分裂性物質を自発的に公表、国際原子力機関(IAEA)
    などの検証下に置くよう求める。

 一、すべての国に核物質や原子力施設の保安強化措置を取るよう提案。

(2010年3月24日朝刊掲載)

関連記事
社説 核廃絶へ日豪連携 NPTに弾みつけたい(10年3月 2日)
「核なき世界」日豪連携 外相会談で共同声明 捕鯨問題は対立 (10年2月22日)

年別アーカイブ