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IAEA機能強化探る 東京でシンポ 核不拡散へ意見交換

■記者 吉原圭介

 国際原子力機関(IAEA)の役割について考えるシンポジウムが25日、東京都内であった。米国のローレンス・シャインマン元IAEA事務局長特別補佐官や国内の専門家が、核不拡散のための機能強化策を中心に意見交換した。

 ウィーン国際機関日本政府代表部の中根猛大使が基調講演し、原子力の軍事利用を防ぎつつ平和利用を促進するIAEAの役割を紹介。「イランは秘密裏に核開発を進め、国際的な信頼を失った」とし、技術や核物質の世界的な拡散を防ぐための課題として情報分析能力の向上を挙げた。

 続くパネルディスカッションで日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センターの阿部信泰所長は、査察強化を目的とするIAEA追加議定書の重要性を踏まえ、批准国を増やす必要性を強調した。シャインマン氏は世界的な原子力発電所の建設増加を念頭に「IAEAの課題は、核技術の制御と奨励を一つの組織でやろうとすることだ」との問題意識を示した。

 シンポは一橋大国際・公共政策大学院が主催し、約70人が聴講した。

(2010年3月26日朝刊掲載)

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