×

ニュース

原爆症認定 原告 がん・白血病に配慮求める 厚労省は応じず

■記者 北村浩司

 原爆症認定制度の見直しについて、厚生労働省と原爆症認定集団訴訟の原告側との協議が5日、東京・霞が関の厚労省であった。原告側が、新しい審査方針に被爆者救済の理念を盛り込むことや、がんなどの病気については最大限の配慮をすることを求めたのに対し、厚労省側から満足な回答が得られなかったと反発。再回答を求めた。

 協議は14日に再度開くことになった。原告側は「安易な妥協はしない」と強調、決着が新年度に持ち越すことも辞さない構えを強調した。

 協議後、記者会見した原告側によると、①原爆被害の大きさや被爆者救済の必要性についての理念を方針に盛り込む②白血病、がん、肝機能障害、甲状腺機能低下症といった病気には最大限の配慮を明記する③被爆距離や爆心地付近に入った時間が基準外で「総合的判断」の対象になる被爆者も「積極的に認定」する④審査機関である医療分科会を抜本的に改革する―などを求めた。

 しかし、厚労省側は、理念は「すでに述べており、方針に書くようなものではない」、個別の病気や総合的判断の問題については「科学的根拠がなく、国民の理解も得られていない」などと答えたという。

 原告側は、基準見直し案の骨子については評価した上で具体的な内容について協議を続けている。全国弁護団の宮原哲朗事務局長は「このまま審査が始まると被爆者の新たな線引きになりかねない。あくまで各地の裁判所の判決に沿った内容を求めたい」と強調。広島訴訟の原告で広島市安佐南区の玉本晴英さん(77)も「広島の原告の仲間が亡くなったばかり。国は弁解に終始するのはやめてほしい」と訴えた。

年別アーカイブ