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「黒い雨」で最終調査結果 広島市

■記者 増田咲子

 広島市は29日、広島県や研究者らとつくる原子爆弾被爆実態調査研究会を市役所で開き、原爆投下直後に降った「黒い雨」エリアと、体験者の心理的影響について最終調査結果をまとめた。実際に降ったエリアは国が示す降雨域より広く、体験者は今なお健康不安を抱えている―が骨子。市と県はこれを基に、黒い雨の「大雨地域」として国が定める健康診断特例区域を拡大するよう国に要望する。

 市などは2008年、市内と周辺の3万6614人を対象に、黒い雨体験や心理的影響について郵送でアンケート。2万7147人の有効回答を基に専門家が分析した。

 この日の研究会で広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)の大滝慈教授は、黒い雨が降った範囲は、国による降雨域(「小雨地域」も含む)の約3倍になると報告した。

 東京都精神医学総合研究所の飛鳥井望所長代行は、黒い雨の実態や影響が完全に解明されていない中で、体験者は健康不安を募らせていることを専門的な指標を用いて説明した。

 研究会の座長を務める原医研の神谷研二所長は「科学的事実である調査結果を踏まえ、黒い雨の未指定地域にも援護策を充実してほしい」と話した。

(2010年3月30日朝刊掲載)

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