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新基準外 10人認定 原爆症訴訟 東京地裁が判決

■記者 岡田浩平

 東京都内の被爆者たちが国に原爆症認定を求めた集団訴訟の第2陣(28人、うち1人は遺族が原告)の判決が30日、東京地裁(八木一洋裁判長)であり、国が新基準で認定していない12人のうち10人を原爆症と認めた。甲状腺機能高進症も一連の訴訟で初認定した。

 判決では、病気と原爆放射線との関連(放射線起因性)の判断に際し、放射線の影響が疑われ、それに沿う相応の研究成果がある病気は、ほかの証拠と総合検討して判断するべきだと指摘。被爆者の証言への「適切な評価」も求めた。

 その上で、甲状腺機能高進症や脳梗塞(こうそく)、原爆投下から5日後に入市被爆した場合のがんなどの10人を原爆症と認めた。2人については生活習慣などを踏まえ放射線起因性を否定した。残る16人は新基準で認定されている。

 原告側は損害賠償も請求していたが、認定の是非の判断を急ぐため切り離した。

 国は相次ぐ敗訴を受け、従来より大幅に緩めた新基準を2008年4月から採用、2009年6月に再改定した。しかし今月の名古屋高裁、高松地裁の各判決も未認定の原告を認めている。長妻昭厚生労働相は認定制度見直しには被爆者援護法の改定が必要との認識だが、司法判断は現行法の枠内での認定行政の改善の余地を示した。

 判決後の報告集会で、日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は、国が最近の審査で大量に認定を却下している点を指摘。「国家補償の観点からの法律を」と訴えた。

(2010年3月31日朝刊掲載)

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