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被爆義勇隊員…28編の記憶 広島の追悼祈念館 体験記集め企画展

■記者 増田咲子

 建物疎開作業中に被爆した国民義勇隊にまつわる体験記を集めた企画展「しまってはいけない記憶―国民義勇隊と建物疎開」が1日、広島市中区の平和記念公園内にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で始まった。今年いっぱい続ける。

 地域や職域で編成された義勇隊員や遺族らが寄せた体験記のうち28編を並べ、パソコン画面でも閲覧できる。

 原爆投下当日に結婚式を予定していた当時25歳の男性は、婚約者が建物疎開作業に向かい、被爆して数日後に亡くなった体験を告白。別の男性は、作業に向かう電車に乗り遅れたために生き延びたと明かし「生きていることを(亡くなった同僚たちに)黙っていたい」と心情を吐露している。

 今春から中学生になる守(もり)由記子さん(12)=千葉県袖ケ浦市=は「原爆の怖さを実感した。二度と起きないでほしい」と手記に見入っていた。

 同じ公園内の原爆資料館も追悼祈念館に歩調を合わせ、今年夏から義勇隊関連の企画展を計画している。

(2010年4月2日朝刊掲載)

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